判例1.会社の車を従業員が私用で使用していて会社の責任を認めた例

 従業員が事務所内の机の引出しの中に保管してあったキーを無断で持ち出し、営業のために従業員に使用させていた車両を私用運転中に起こした事故について、その運行は企業の支配下にあったものとして企業に運行供用者責任を認めた。(名古屋地裁 昭和56年7月10日判決)

判例2.会社の車による泥棒運転中の事故について会社の責任を認めた例

 従業員がドアをロックせずキーをつけたまま車を放置しておいたところ、通りがかりの者が運転して事故を起こした場合について、従業員の放置行為と事故との間に因果関係があり、かつ、保管上の過失があるとして、使用者責任を認めた。(京都地裁 昭和56年9月7日判決)

判例3.マイカーを業務に使用していて会社の責任を認めた例

 自動車販売会社のセールスマンが、会社に申告した以外のマイカーをセールス用にも使用していた場合、非申告車であってもほぼ毎日セールス用に使用していたことから、会社はその運行により利益を得、当車両に対し十分な管理・監督を及ぼしうる地位にあったとして、会社に運行供用者責任を認めた。 (名古屋地裁 昭和48年7月9日判決)

判例4.マイカー通勤途上の事故で会社の責任を認めた例

 従業員がマイカー通勤途上で起こした事故について、通勤は原則として業務の一部を構成するものとして業務執行性を認め、さらに通勤手当を支給していたことから会社のマイカー通勤への容認と評価し、会社に使用者責任を認めた。 (福岡地裁 平成10年8月5日判決)

判例5.マイカー通勤途上の事故で会社の責任を認めなかった例

 社員のマイカーによる通勤途上の事故につき、会社は駐車場を第三者から借りて使用させていたが、駐車料金は利用者に分担して負担させており、日頃、そのマイカーを社用に利用したこともなく、燃料費や維持費を支給したこともないことから、そのマイカーに対して運行支配や運行利益があったとはいえないとして、会社に運行供用者責任を認めなかった。 (鹿児島地裁 昭和53年10月26日判決)

判例6.私用中の事故だが社員自家用車制度のマイカーのため会社の責任を認めた例

 従業員の夏季休業中における事故であるが、

  • ①社員自家用車制度により購入した。
  • ②車は所有権留保され会社の名義であった。
  • ③業務が60%、私用が40%で業務割合が多かった。
  • ④毎月ガソリン代が支給されていた。

  として、会社の責任を認めた。 (東京地裁 昭和59年7月12日判決)

 

判例7.通勤車両に任意保険の加入を定めた社内規定を有効と認めた例

 会社構内への通勤車両の乗り入れ、および駐車場利用の要件として、自動車保険(任意対人賠償保険)の加入を定めたマイカー通勤管理規定を有効と認めた。 (最高裁 昭和53年12月12日判決)